2023-11-07から1日間の記事一覧

映画評 増村保造の映画

『やくざ絶唱』(1970) いかにもアウトローな腕の振り方で歩く勝新太郎の姿を見てスター映画なのかなと思ったら、途中から太地貴和子へとドラマが移る。脚本の作りから言っても彼女の芝居が高揚していくとともに勝新太郎が退場をよぎなくされていく。通常の…

映画評『蜘蛛の巣』(1955)

映画評『蜘蛛の巣』(1955) 確かにたしかにシネマスコープの長回しが成功しているかといえば難しいところがあり、リチャード・ウィドマークが寝室にいるにも関わらず患者の話ばかりするのでグロリア・グレアムが激昂するショットは割ったほうが演技のリズム…

映画評『クワイエットプレイス2』(2021)

映画評『クワイエットプレイス2』(2021) はっきり言って物語の整合性でいえばすべてが破綻している。登場人物が行動へと思い立つ理由さえまともに描かれないのだ。 いわゆる一般的なドラマ作りだと怪物が巣食うあたりを彷徨く少女を追いかけろと言われたら…

映画評『ザ・スーサイドスクワッド』(2021)

映画評『ザ・スーサイドスクワッド』(2021) 意識的なキャンプかつトラッシュフィルムとしては至極楽しんだが2度は見ようと思わない。脚本の詰めが説明的で甘く、たとえばB級部隊が皆殺しになった後に出てきたA級部隊がグループアップする回想を入れる必要…

映画評「ドライブ・マイ・カー」(2021)

映画評「ドライブ・マイ・カー」(2021) 悪くはないが決して好きではない。常についてまわるあざとさがぬぐえなかった『寝ても覚めても』から抑制された演出へと切り替わったにしては『ドライブマイカー』はまだくどさが残っている。例えば本作の編集は扉の…

シノプシス「ディジネス」

シノプシス『ディジネス』 ・登場人物一覧 鳴海 主人公 工作員 京 雫(しずく) 姉 零(れい) 妹 ・あらすじ 鳴海は女性工作員で、映画の配給会社に偽装して暗躍する敵組織を探っている。 鳴海は同僚の京とともに、敵の雫を襲撃する。雫は死の間際、「ケ・…

エッセイ「増村保造論 肉声とどろく収縮する空間」

エッセイ「増村保造論 肉声とどろく収縮する空間」 増村保造の映画をすべて見たことはないにせよ、『くちづけ』(1957)、『青空娘』(1957)、『巨人と玩具』(1958)、『最高殊勲夫人』(1959)、『からっ風野郎』(1960)と見ていくうちに、カメラがだん…