2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧

映画評『加恵、女の子でしょ!』(1996)

何やらパイプを指でいやらしく弄る背広姿の男性教授の後ろ姿が映しだされるところから 『加恵、女の子でしょ!』(1996)は始まる。殺風景なセットに並べられたブラウン管はそれぞれ原色が映しだされている。教授はそのひとつひとつをネチネチと講評していく…

映画評『スターマン』(1984)

ある夜、窓の外には木々を背中に広がる湖がみえる。そこにひとつのきらめく星が落ち、光を放つ。その様子に気づくこともなく、八ミリのホームビデオに映る夫役のジェフ・ブリッジスと自分の姿に目を奪われ、涙する妻ジェニーを演じるカレン・アレンはワイン…

書評『ロードムービーの創造力』

ニール・アーチャーの『ロードムービーの想像力 旅と映画、魂の再生』(晃洋書房、2023年)は端的に要約すると、『イージーライダー』(1969)を皮切りに、『断絶』(1971)、『バニシング・ポイント』(1971)ほかと二匹目のドジョウを狙った映画が商業的に作られて…

映画評『首』(2023)

親分「おい、お前やれよ」 子分「え? おれがすか?」 親分「いいから、やれよ」 子分「じゃあ……」 親分「ばかやろう、何やってんだお前」 北野武はヤラセの人である。いわゆる、ビートたけしとたけし軍団のコントは、親分が子分にわざと馬鹿馬鹿しいことを…