エッセイ「ボー・ピープに泣く。」

映画評『トイ・ストーリー4』
最初は肩舐めの切り返しでここで帽子を深く被せてやる。この時に、見た目ショット同士の切り返しで分断するのではなく、同一のフレームに納めることによって、再開の予感をさせる。ここのあたりのカッティングが本当に古典的で、透明で思わず瞳が潤い、タイトルが見えなかった。
 次に再会する時にもまた同じ仕草を反復し、よくみてる観客なら涙を誘われるだろう。その次はメリーゴーランドの下でのっかることによって接触、今度はアンティークショップで絶景を2人で同一方向を見ることを共にする。
最後にはメリーゴーランドの上で祭りのライトに照らされながら抱擁し、また帽子を被せてやる仕草を繰り返し、バズたちに戻るよう誘われるも、『カサブランカ』のように未練を残すカケラもなく、『脱出』的にボーに駆け寄るところも凄かった。そのあと、ジェシィにバッジを渡し、自由になるのもグレイト。
 本作はフィルムのような画面の質感があり、被写界深度を浅くしたキャメラのボケ味が、よりこの活劇メロドラマを盛り上げている。
スリンキーのバネや猿のおてて、ウッディの紐、旗の糸がまさに宙ぶらりんのサスペンスのために反復される。チームワークで解決する監督の名はだすまでもない。
 また、ボーピープが陶器製だから、いつ壊れるかわからないところもサスペンスフル。粋な感じがまさにバーバラ・スタンウィックを思わせる。声も似てる。