2023-11-15から1日間の記事一覧

映画評『ビッグ・アイズ』(2014)

歪んだ貌の果てに エイミー・アダムスの頭身は、ハイアングルあるいはローアングル、広角レンズによって歪められ、4.5頭身の醜い姿に映っている。 映画は、彼女の身体を戯画化したのみでは飽き足らず、逆光によってターコイズ色の瞳を輝かせ、まさにビッグア…

映画評『イエスタデイ』(2019)

『イエスタデイ』が並みの映画なのは冒頭の数ショットの連なりを見ればわかる。 通りで弾き語りをしているヒメーシュ・パレルの後ろ姿をロングショットで納め、画面をわざとスカスカにして誰も足を止めないことを示し、手前をやる気のなさそうに歩くウサギの…

映画評『めまい』(1958)

むやみに近づいてはいけない。遠くのほうにいるキム・ノヴァクへの接近は決して許されないのだ。だが、その距離の計測をむきだしとなった肉体と肉体とが接吻と抱擁によって絡みついて無効にしてはいながら、その叙情的かつ官能的な余韻までもがあえて中絶さ…