詩「フンババ」

 

不定形の龍の子を孕んだ自動車の残骸

黒々とした工場の廃液を吸って膨張する海月

硫酸の火傷に爛れた血肉が垂れる錆びた獅子

堅牢なる硝子の散りゆくありさ

干からびた眼にたかる殻

どこからか聞こえる歪な歪んだ歪曲した波長

水が燃え、炎が凍る

もはや河の流れはさながら飛び去った宇宙船の描く奇跡のような玉虫色の弧に等しい

米軍基地に住む貴族

極悪人の法の番人

墓穴を埋めろ

流行の歌

ここでは喜劇が早すぎる